2014-08-30

乱れ鮫の描き方を推測してみる

「乱れ鮫」というのは日本の伝統文様のひとつです。
鮫小紋のうち、こうして丸い点を波状に並べたものをそう呼びます。


↑私物のハンカチです。
むかしお土産屋さんで買ったもの。

この柄を、パターン素材化するにはどうしたらよいか分析しようとしたんですが、
見れば見るほど目がおかしくなりそうだったので、

「なんとなくこんなかんじだろう」とあて推量で方法を検討しました。

以下、その記録。

*  *  *  *  *

まず、最小単位パターンは青海波のような扇の形と思われます。

参考までに青海波(せいがいは)↓
円盤をうろこ状に重ねた伝統文様です。
おおまかなところはこれと同じと思っていいのかな。


問題は、規則的に並んでいるように見える点の配置方法。
その並びを線としてみたとき、つながりは二方向に見えます。

↓弧が伸びて重なるように、補助線を引いてみました。

↓最小パターンだけを描きます。
線の交差する部分に沿いながら、辻褄が合うように、
左右対称になるように、なるべく均等に並ぶように・・・
って難しすぎませんか。

↓コピーを配置。
(この時点でバランスを何度も修正する羽目に)

↓青い枠内をトリミング。

↓(このあとまた何度か修正したけど)できあがり。

↓実際使ってみた。

それっぽいのができました。


この柄を生み出した江戸時代の職人さんは偉大です。
なんて緻密な作業だろうかと。一朝一夕にはまねできそうもない。
デザインにも生命力があって奥深いですし。

描いてみてわかりましたが、
精密な幾何学模様ながらも、手仕事じゃなければ成しえない辻褄合わせが行われているのでした。
たぶん「適当」なんだと思うんですけどね…。美しいシステムだなあ。

手仕事は味わいある質感を与えますが、「ちょうど良い」「適当な」バランスを、
ある意味では機械よりも精密に配置する手段でもあるのでしょう。

あー難しかった!

1 件のコメント:

  1. おもしろい試みですね。楽しませていただきました。
    「フィボナッチ数」というキーワードで調べると、
    自然界に見られる作りのすばらしさに驚かされますよ。

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